戦略コンサルと経営コンサルの
違いとは?
※当メディアはロングブラックパートナーズ株式会社をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
- 「戦略コンサル」と「経営コンサル」に厳密な境界はなく、実行への関与度は職種ではなく『ファームや契約範囲』で決まる
- 年収は戦略コンサルの方が高い例が見られる。ただし、企業によって差はある。
- 「提言で終わらず実行までコミットしたい」なら、事業再生コンサルタントがオススメ
コンサルタントへの転職を考えはじめると、必ずといっていいほど目にするのが「戦略コンサル」と「経営コンサル」という言葉です。
実は、厚生労働省の職業分類上「戦略コンサルタント」という独立した職業区分は存在せず、経営戦略や組織・人事、業務改善などを幅広く扱う「経営コンサルタント」という大きな枠組みの中の一つの働き方として位置づけられています。
とはいえ、転職市場や求人情報では「戦略コンサル」「経営コンサル」という呼び方が広く使われており、担当するテーマの重心や支援範囲に一定の傾向の違いがあることも事実です。
この記事では、便宜的に両者を呼び分けながら、仕事内容・年収・向いている人という3つの観点から違いを整理します。あわせて、コンサル業界へのキャリアチェンジを検討するうえで見落とされがちな、もう一つの重要な視点についてもお伝えします。
戦略コンサルと経営コンサルの違いは「担当テーマの重心」と「支援範囲の広さ」
戦略コンサルと経営コンサルの違いを説明する際、「戦略は中長期、経営は短中期」という時間軸で語られることがありますが、実際にはトップ戦略ファームが短期的な収益改善やM&Aを手掛けることもあれば、経営コンサルが中期経営計画の策定そのものから関わることも珍しくありません。
ここでは、より実態に即した「担当テーマの重心」と「支援範囲の広さ」という2つの軸から違いを整理します。なお、以下はあくまで一般的な傾向であり、実際の支援範囲はファームや案件によって大きく異なります。
| 比較軸 | 戦略コンサル | 経営コンサル |
|---|---|---|
| 担当テーマの重心 | 全社戦略・事業戦略・M&A戦略など、経営の方向性そのもの | 戦略から業務改革・組織・人事・DXまで幅広い機能領域 |
| 支援範囲 | 戦略の策定が中心。実行支援まで手掛けるファームも増加傾向 | 策定から実行支援・定着化まで一貫して担うことが多い |
| 専門性の 方向性 |
業界・機能を横断するジェネラリスト型が多い | 特定機能(人事・財務・IT・SCM等)の専門特化型も多い |
| カウンターパート | 社長・役員などの経営陣が中心 | 経営陣から現場マネジメント層まで幅広い |
「戦略コンサル」は全社戦略・事業戦略という大きなテーマを扱う仕事
戦略コンサルタントが向き合うのは、企業の社長や役員といった経営陣そのものです。扱うテーマも、中期経営戦略の策定や新規事業の立ち上げ、M&A戦略といった、企業の将来を左右するような全社・事業レベルのテーマが中心になります。
よく「戦略コンサルは中長期、経営コンサルは短期」という説明を目にしますが、実際には戦略コンサルタントが短期的な収益改善やコスト構造改革、価格戦略などを手掛けることも珍しくなく、時間軸だけで単純に線引きできるものではありません。むしろ実態に近いのは、「全社・事業戦略という、経営の方向性そのものに関わるテーマを中心に扱う」という説明です。
また、BCGなど大手戦略ファームの多くは、近年「戦略の策定から実行支援まで一貫して手掛ける」ことを公式に掲げており、戦略コンサルタント=提言だけで終わる仕事、と単純に捉えるのも実態とは異なります。実行にどこまで関わるかは、職種そのものよりも、ファームの方針や個別の契約範囲によるところが大きいのです。転職活動においては、「戦略コンサル」という名称だけで判断せず、志望するファームが実際にどこまでの支援範囲を掲げているのかを、採用ページや募集要項で確認しておくことが欠かせません。
「経営コンサル」は戦略から実行まで、幅広い経営課題に対応する仕事
経営コンサルタントの仕事内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)でも「企業に対して、経営戦略、組織・人事戦略、マーケティング、業務改善などを提案し、その実現へ向けてアドバイスや支援をする」と説明されています。つまり経営コンサルタントは実行支援だけを担うのではなく、経営戦略そのものの策定から関わることも珍しくありません。
戦略コンサルタントとの違いを挙げるなら、担当するテーマの幅の広さにあるといえるでしょう。全社・事業戦略を中心に扱う戦略コンサルタントに対し、経営コンサルタントは戦略から業務改善、組織改革、人事制度の構築、DX推進まで、企業活動のほぼすべての機能領域を横断的に扱います。
具体的な仕事内容の違い
ここまでの整理だけでは、まだ実際の業務がイメージしづらいという方も多いのではないでしょうか。ここからは、戦略コンサルタントと経営コンサルタントが日々どのようなプロセスで仕事を進めているのか、より具体的に見ていきます。
戦略コンサルの仕事内容
戦略コンサルタントの仕事は、まずクライアント企業が置かれている状況や抱えている経営課題を洗い出すところから始まります。経営陣へのヒアリングを重ねながら、業界動向のリサーチや競合分析、財務データの分析などを行い、課題の本質を見極めていきます。次の工程では、そこで得られた情報をもとに経営戦略や事業戦略、新規事業のプランなどを策定し、経営陣に対して提言を行います。
華やかな仕事だとイメージされがちですが、実務の多くは市場調査やデータ分析、提言のための資料作成といった地道な作業で構成されている点も見逃せません。
特に若手のうちは、限られた情報から仮説を立て、構造的に課題を分解しながら検証していくという、地道で緻密な思考の積み重ねが業務の中心になります。たとえば、3C分析やSWOT分析といった経営学の代表的なフレームワークを用いながら、クライアント企業の強みや弱み、事業機会を整理していくことも多く、最終的には経営会議の場で説明できる水準まで論点を磨き上げていく必要があります。
なお、プロジェクトやファームの方針によっては、策定した戦略の実行支援まで担当するケースもあり、提言のみで完結するとは限らない点にも留意しておきたいところです。
経営コンサルの仕事内容
経営コンサルタントの仕事は、クライアント企業のさまざまな経営課題を明らかにし、その解決に向けた助言や支援を行うことにあります。扱う領域は中期経営戦略の立案や新規事業の立ち上げにとどまらず、マーケティング戦略、DXの推進、人事制度の見直し、財務やM&Aに関するテーマまで、企業活動のほぼすべての機能に及びます。1人のコンサルタントがすべてを担当するのではなく、パートナー、マネージャー、コンサルタント、アナリストといった役割を持つメンバーがチームを組み、クライアント企業側と連携しながらプロジェクトを進めていくのが一般的です。
戦略の絵を描くだけでなく、実際に現場に入り込んで業務プロセスを見直したり、新しい仕組みの導入を支援したりと、実行段階まで伴走するプロジェクトが多いのも特徴です。プロジェクトの期間も戦略策定だけを担う案件と比べて長期化しやすく、数か月から場合によっては1年以上にわたって同じクライアントに伴走し続けるケースも珍しくありません。その分、企業の内部事情を深く理解したうえで、地に足のついた改善提案を積み重ねていける点も、経営コンサルタントという仕事の特徴だといえます。
プロジェクトの一連の流れの中で、それぞれの職種がどこまで関与するのかを整理すると、次のようになります。ただし、これも職種によって一律に決まるものではなく、ファームの方針や契約範囲によって差が大きい点にご注意ください。
| プロジェクトの フェーズ |
戦略コンサルの一般的な傾向 | 経営コンサルの一般的な傾向 |
|---|---|---|
| 課題設定・ 仮説構築 |
主体的に担当 | 主体的に担当 |
| 情報収集・分析 | 主体的に担当(市場・競合分析が中心) | 主体的に担当(現場データ・業務プロセス分析が中心) |
| 提言・ 意思決定支援 |
主体的に担当(最も重視される工程) | 主体的に担当 |
| 実行支援・ 現場改善 |
ファームや契約による(近年は実行支援型も増加) | 主体的に担当することが多い |
| 効果検証・ 定着化 |
ファームや契約による | 継続的にモニタリングを担当することも |
こうして並べてみると、両者とも「課題設定」から「提言」までは主体的に関わる点は共通しており、実行段階への関わり方こそが、ファーム選びの際に確認しておきたいポイントだといえそうです。
年収の違い
転職を検討するうえで気になるのが、年収やその先のキャリアパスではないでしょうか。ただし、戦略コンサルと経営コンサルを明確に分けた公的な年収統計は存在しないため、ここでは公開されている情報をもとに、年収を比較する際の考え方を整理します。
年収を比較する際に知っておきたいこと
「戦略コンサルの方が年収が高い」という説明を目にすることがありますが、これは主にトップ戦略ファームと総合系ファームを比較した場合に語られる傾向であり、日本において戦略コンサルタントと経営コンサルタントを明確に分けた公的な賃金統計は確認できていません。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、戦略コンサルタントも含む「経営コンサルタント」という職業区分について、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした平均年収が1,134.6万円、平均年齢39.4歳という数値が示されていますが、戦略系・総合系・組織人事系といった専門領域別の内訳までは分かれていません。
外資系の戦略ファームは業界内でもトップクラスの報酬水準にあるといわれ、20代の若手でも実力次第で高い年収を目指せるとされていますが、これも個別のファームや案件による差が大きく、一律に「戦略コンサルの方が高い」と言い切れるものではない点に注意が必要です。
年収の例
具体的にどの程度の水準感になるのか、参考例として、コンサル業界に特化した転職エージェント「マイビジョン」が公開している役職別の年収レンジをご紹介します。
戦略コンサルは同社が戦略コンサルティングファームの求人情報等をもとに算出したレンジ、経営コンサルは口コミサイト「OpenWork」の投稿情報をもとに同社が算出したレンジです。いずれも公的統計ではなく民間の転職エージェントによる参考値である点、また実際の金額はファームや個人の実績によって変動する点にご留意のうえ、あくまで目安としてご覧ください。
| 役職 | 戦略コンサル(参考レンジ) | 経営コンサル(参考レンジ) |
|---|---|---|
| アナリスト・アソシエイト | 約600万〜1000万円 | 約470万〜675万円 |
| コンサルタント | 約900万〜1,500万円 | 約800万〜1,000万円 |
| マネージャー | 約1,500万〜2,000万円 | 約1,150万〜2,300万円 |
https://my-vision.co.jp/consultant/strategy/about
https://my-vision.co.jp/consultant/management/salary
どちらが向いている?必要なスキルと向き不向き
仕事内容や年収の違いを理解したところで、次に気になるのが「自分にはどちらが向いているのか」という点だと思います。まずは特徴をぱっと見で比較できるチェックリストをご紹介したうえで、それぞれの資質について詳しく見ていきましょう。
| 戦略コンサルに向いている人 | 経営コンサルに向いている人 |
|---|---|
| ✓ 高い論理的思考力に自信がある | ✓ 企業経営に関わる幅広いテーマに関心がある |
| ✓ 経営層との議論やプレゼンに苦を感じない | ✓ 現場に入り込んで泥臭く動くことに抵抗がない |
| ✓ 唯一の正解がない問いに向き合うのが好き | ✓ 新しい業界知識を継続的に学び続けられる |
| ✓ 短期集中・高いプレッシャーの中で成果を出したい | ✓ チームで協働しながら成果を出すのが得意 |
| ✓ 地道なリサーチや資料作成をコツコツ積み重ねられる | ✓ ゼネラリスト・スペシャリストいずれの道も検討したい |
戦略コンサルに向いている人の特徴
戦略コンサルタントに向いているのは、正解のない問いに向き合い続けられる人です。具体的には、次のような資質を持つ人が活躍しやすいとされています。
- 高い論理的思考力
売上成長戦略やM&Aなど、唯一の正解があるとは限らない課題に対して、情報を整理し本質的な論点を見極める力が業務の土台になります。限られた情報から仮説を立て、構造的に分解しながら検証していくプロセスは、選考時のケース面接でも重点的に評価されます。 - コミュニケーション能力
経営層へのヒアリングやプレゼンテーションの機会が多いため、周囲を巻き込んでいく人間的な魅力も重視されます。 - 自己管理能力・タフさ
プロジェクトの多くは短期間で高い品質を求められるため、プレッシャーの大きい環境でも粘り強く仕事を進められる力が欠かせません。 - 柔軟な姿勢と地道な積み重ね
自分の仮説に固執せず新しい情報が出てきた際に柔軟に考えを修正できる姿勢と、リサーチや資料作成をコツコツ積み重ねられる粘り強さの両方が求められます。
華やかなイメージだけでこの仕事を志望すると、入社後にギャップを感じやすい点にも注意しておきたいところです。
経営コンサルに向いている人の特徴
経営コンサルタントに向いているのは、企業経営に関わる幅広いテーマに関心を持てる人です。具体的には、次のような資質を持つ人が活躍しやすいとされています。
- 幅広い好奇心
戦略立案から業務改善、組織改革、DX推進まで担当領域が多岐にわたるため、新しい業界や業務に対する好奇心を持ち続けられるかどうかが重要になります。 - 現場での実行力
提言だけで終わらず現場に入り込んで実行支援を行う場面も多いため、机上の分析にとどまらず、現場の実態を理解しながら泥臭く動ける実行力も求められます。 - チームワーク
プロジェクトはチームで進めることが基本となるため、パートナーやマネージャー、アナリストといった立場の異なるメンバーと協働しながら成果を出していく姿勢が大切です。 - 学び続ける姿勢
ゼネラリストとして幅広く成長する道も、人事やDXなど特定機能を深掘りしてスペシャリストとして活躍する道もあり、どちらを志向するにせよ新しい業界知識やビジネスモデルを学び続ける姿勢が長く活躍する鍵になります。
目の前の経営課題に対して着実に成果を出すことに、仕事のやりがいを感じられるかどうかも、この仕事に向いているかを見極める一つの基準になります。
転職で見落としがちな、もう一つの視点
「実行への関与度」
ここまで戦略コンサルタントと経営コンサルタントの違いを見てきましたが、実は転職を考えるうえでもうひとつ知っておきたい視点があります。それが、「実行への関与度」は職種の名前だけでは決まらない、という点です。
実行への関与度は、職種よりも
「ファームや契約範囲」で変わる
戦略コンサルタントも経営コンサルタントも、「経営に近い仕事」というイメージから転職を検討する方は多いですが、実際に入社してみると、業務の多くは市場調査やデータ分析、資料作成といった地道な作業で構成されていることに戸惑う方も少なくないといわれています。ここで注意したいのは、「戦略コンサルは提言まで、経営コンサルは実行まで」という単純な図式が、必ずしも正しくないという点です。BCGをはじめとする大手戦略ファームの多くは、近年「戦略の策定から実行支援まで」を公式に掲げており、戦略コンサルタントだからといって実行に関与できないとは限りません。
逆に言えば、実行にどこまで深く関与できるかは、職種の名前ではなく、志望するファームの方針や、個別のプロジェクト・契約の範囲によって大きく左右されるということです。「この職種を選べば実行に関われる」と思い込んでしまうと、実際の配属先やプロジェクトによって想定と異なる、というミスマッチが起こり得る点は、あらかじめ理解しておく必要があるでしょう。求人票や職務経歴の記載だけでは、実際にどこまで実行支援に関わることになるのか判断しづらい場合も多いため、選考の過程で担当予定のプロジェクト内容について具体的に質問しておくことをおすすめします。
「経営危機の当事者」として実行にコミットしたいなら、
事業再生コンサルタントという選択肢も
戦略・経営コンサルに、事業再生コンサルタントを加えて「実行への関与度」という軸で並べると、次のような違いが見えてきます。
| 比較軸 | 戦略コンサル | 経営コンサル | 事業再生コンサルタント |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 全社・事業戦略の策定(実行支援を伴うファームも増加) | 戦略から業務改革・実行支援まで幅広く担当 | 財務・事業DDから再生計画の策定、実行まで一気通貫 |
| 実行への関与度 | ファームや契約による(近年は実行支援型も増加) | ファームや契約による(実行支援を伴うことが多い) | 仕事の性質上、実行までの伴走がほぼ前提 |
| クライアントとの関係性 | プロジェクト単位の契約が多い | プロジェクト単位(実行支援は長期化することも) | 中長期の伴走。現場常駐型も多い |
| 得られる 実感 |
経営の意思決定に関わる手応え | 幅広い経営課題を解決する手応え | 企業の再生を「当事者」として実現する手触り感 |
ファームや契約によって実行への関与度が変わる戦略・経営コンサルに対して、事業再生コンサルタントは仕事の性質そのものが「実行までのコミット」を前提としている点に特徴があります。経営危機に陥った企業を支援する以上、分析と提言だけで案件が完了することは基本的になく、財務・事業のデューデリジェンスから再生計画の策定、資金繰りや金融機関との交渉、経営会議への参画まで、一気通貫で伴走することが仕事の性質上ほぼ必然になるからです。
戦略や経営全般を扱う点はこれまで紹介してきた2つの職種と共通していますが、「実行支援があるかもしれない仕事」ではなく「実行までやり切ることが前提の仕事」である点が、事業再生コンサルタントという働き方の際立った特徴だといえるでしょう。「提言をして終わり」にならない働き方を求めているなら、事業再生コンサルタントという選択肢は、戦略・経営コンサルとはまた違った角度から検討する価値があるといえます。